PoEの規格の違いとその使いみちについて

近年ネットワーク接続を構築するLANケーブルを使って、電力の供給が可能なPoEが注目を集めています。

ではPoE給電で定められている規格の違いと、その使い道について考えてみましょう。

PoEの規格

PoE給電の規格は「IEEE」から始まり、3つの種類があります。

いずれも、アメリカにあるIEEE(アイトリプルイー)という電気工学・電子工学技術の学会が制定したもので、世界共通の基準規格です。

具体的にどんな種類の規格があるか見ていきましょう。

 

IEEE802.3af

PoE給電で最初に標準化されたのは、2003年の「IEEE802.3af」です。単に「PoE」、もしくは「PoE Type 1」と表示される規格は、この「IEEE802.3af」です。

PoEは給電の電力に応じてクラス0からクラス3まで4つに分けられており、受電側は旧電話側のクラスに応じて通電します。この規格ではカテゴリ3のLANケーブルを使用することができます。

 

IEEE802.3at

続いて2009年に制定された上位のPoE規格が「IEEE802.3at」です。通常「PoE+」や「PoE Type 2」と呼ばれます。

PoEではクラス3までしかありませんでしたが、さらに多くの電力を供給できるようになったためクラス4が定められました。

PoE+で給電するためにはカテゴリ5e以上のLANケーブルを使用する必要があります。IEEE802.3afの性能をさらに向上させた上位製品といえるでしょう。

 

IEEE802.3bt

しばらくの間PoE給電規格は、IEEE802.3afとIEEE802.3atしかありませんでしたが、2018年に新たに「IEEE802.3bt」が制定されました。

給電電力の大きさによってクラス5からクラス8までに分けられています。以前の2つの規格よりもさらに多くの電力を供給できるようになり、利便性がさらに向上しました。

別名「PoE++」もしくはツイストペアケーブルを4つ使用しているため「4P PoE」とも呼ばれます。現在最大90Wまで電力を供給することができる給電能力の高いPoE規格も開発途中にあり、将来的にPoEの規格は増えていくことが予想されます。

PoEの規格による違い

現在3つあるPoEの規格には、主に2つの違いがあります。PoE給電の利用を検討している方は覚えておくとよいかもしれません。

PoE給電の違いについて知っておくと、家やオフィスでのPoE給電の使い道を決めるのに役立つでしょう。

 

電力の違い

まずもっとも大きな違いは「電力の違い」です。PoEの規格によって、さまざまな電子機器に供給することができる電力の大きさが異なります。

たとえばもっとも初期に制定された規格である「IEEE802.3af」は、クラス3の最大給電電力が15.4Wです。

一方「IEEE802.3at」になると、給電電力が30.0Wと2倍近くになります。さらに上位の「IEEE802.3bt」では60.0Wまで給電電力が引き上げられています。

給電電力よりも必要電力が大きい場合には、電子機器は作動しません。したがってより多くの電力を供給できる規格の方が、いろいろな場面で使いやすいということになるでしょう。

 

対応するLANケーブルの違い

規格によって異なる別のポイントは、「対応しているLANケーブルの違い」です。

PoE給電はLANケーブルを使って電力を供給するため、LANケーブルは非常に重要なアイテムです。もっとも初期の「IEEE802.3af」の場合、カテゴリ3以上のLANケーブルであれば使用することができます。

ただし、現在ネットワーク接続でカテゴリ3のLANケーブルが用いられることはほとんどありません。現在では、一般家庭であってもカテゴリ5以上のLANケーブルが用いられています。

カテゴリ5のLANケーブルを使っている方は、「IEEE802.3af」が適しているでしょう。一方で「IEEE802.3at」ではカテゴリ5e以上のLANケーブルを使用しなければなりません。

ネットワーク接続をスムーズにするためにカテゴリ5eやカテゴリ6のLANケーブルを使用している方は、「IEEE802.3at」の方がより多くの機器に電力を供給できて便利です。

PoEの規格別使いみち

こうしたPoEの規格について知っておくと、PoEの規格によって使い道を決めることができます。

 

IEEE802.3af

給電電力がもっとも小さい15.4Wである「IEEE802.3af」の場合、それほど多くの電子機器を作動させることはできません。防犯のためにカメラを1台か2台取り付けたいといった場合などに適しているでしょう。

 

IEEE802.3at・IEEE802.3bt

より大きな電力を供給できる「IEEE802.3at」や「IEEE802.3bt」の場合、複数の電子機器を作動させられるでしょう。カメラやルータ、IP電話など受電する機器の消費電力が給電電力を上回らない限り、多くの電子機器に使用することが可能です。

家やオフィスでどのような電子機器を使いたいと思っているのか、どの電子機器がPoEに対応しているのかなどを考慮して、上手にネットワークを設計するとよいでしょう。

ただし、多くの電力を消費すればするほど、LANケーブルには負担がかかるため劣化が速くなることを覚えておくべきです。

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PoE給電はコンセントなどがなくても電子機器に電力を供給できる優れたシステムです。PoE給電の規格について知っておけば、給電電力と消費電力のバランスを見て使い道を決めることができるでしょう。

規格に合った使い方をすれば、PoE給電の利点を最大限生かして快適なネットワークを構築することが可能です。