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データセンターファシリティで求められる5つの基準とは?

※この記事は製品や技術にまつわるお役立ち情報=豆知識を意図しておりますことから、弊社製品以外の製品や市場一般に関する内容を含んでいることがあります

データセンターファシリティで求められる5つの基準とは?

本記事ではデータセンターの5つのファシリティ基準について解説します。ファシリティとは施設・設備・建物など物的資産の総称です。データセンターのファシリティは、災害や停電時にもシステムが問題なく稼働することを目的に発展してきました。インターネット関連事業の増加や、サスティナブルへの配慮などの影響から、データセンターに求められるファシリティに変化があらわれています。

 

データセンターに求められる要件の変化

データセンターに求められる要件は高信頼性や堅牢性から、電力使用の効率化やコスト削減へと徐々に変化しています。データセンターの電力使用効率の指標は、PUE(Power Usage Effectiveness)です。PUEはデータセンター全体の消費電力とICT機器の消費電力で割った数値で、1.0に近くなるほど電力を効率的に使用していることを示します。データセンターでは、PUEを1.0に近づけるために様々な努力をしています。

 

データセンターにおけるコスト削減の取り組み

データセンターの経営コストにおける電気代の割合は、約15~30%と大きな比率を占めているといわれており、電気代の削減はデータセンターのコスト削減に直結する問題です。

データセンターでは下記のような取り組みによって電気代削減のための努力をしています。

  • ・サーバーへの給電停止機能付き電源コンセントを活用した待機電力の最適化
  • ・サーバーラックの設置間隔を調整することでの通気性の改善
  • ・ラックのケーブルや配線を整理することによるファン稼働の抑制
  • ・室内に仕切り板を使った室内気流の改善
  • ・自然エネルギーを利用した外気冷却方式の空調設備の導入

また、上記以外でもデータセンターでは新規設備を導入する際に、IT機器や空調設備を省電力かつ高性能なものに入れ替えることで、根本的な電気代の削減に取り組んでいます。

 

データセンターファシリティの最適化

データセンターのファシリティを最適化するためには、DCIM(Data Center Infrastructure Management)という考え方が必要です。DCIMとは、サーバー内の空調設備やICT機器を別ものとして考えず、システム全体として統合的に監視・管理して運用効率を向上させるシステムの総称です。DCIMを取り入れることで、従来のようなシステムを個別管理する方法と比べて高効率化と最適化を図ることができます。

DCIMによる最適化の具体例としては、データセンター内の室温管理が挙げられます。以前までのデータセンターでは、室温を24℃前後に調整してIT機器やサーバーを安定稼働させようとしていました。しかし、現在主流となっているIAサーバーは3年程度の短期間運用を想定しており、メーカー側も環境条件を42℃以下としているものが増えています。IAサーバーが適正に稼働できる環境条件を理解し、空調設備を必要以上に使用せず、DCIMの視点で室温を管理すべきです。それによってデータセンターの効率化とコスト削減が可能となります。

 

データセンターファシリティ5つの基準

データセンターのファシリティ基準は、日本データセンター協会(JDCC)が発行しているファシリティスタンダードを基に評価します。評価結果に使われるのは、ティアというランクです。ティアは1~4まで分類されており、数字が大きいほど優れた施設という評価方法です。ここでは、データファシリティスタンダードに記載された基準について解説します。

セキュリティ

セキュリティの基準は「セキュリティ管理レベル」によって評価されます。データセンターのセキュリティは「異常監視システム」「アクセスコントロールシステム」「サーバーラックシステム」「ビルディングオートメーションシステム」で構成されています。

 

・異常監視システム

 温度・湿度といった環境異常、物理的セキュリティ区画への不正なアクセスや、火災や 漏水といった異常を検知し、担当者へ通報するシステムのことを指します。

 

・アクセスコントロールシステム

 データセンターにはその性格上、入館、入室に対して非常に厳しい管理を施すと同時に、データセンターの利用者に対し十分な利便性を確保するといった、相反する要求が課されています。アクセスコントロールシステムは、その相反する条件を実現するセキュリティ上、最も重要ともいえるシステムです。

 

・サーバーラックシステム

 サーバーラックは最後の境界であり、表面的には大きな変化は見られないものの、その構造的にも性能的にもたゆまぬ進化が見られます。また、年々データセンターにおけるセキュリティのニーズがレベルアップしてきており、より一層この最後の境界を進化させるには、物理的な対策だけでは限界が見えてきているのも事実です。

 

・ビルディングオートメーションシステム

 ビルディングオートメーションシステムは中央監視システムとも呼ばれ、施設内の空調設備や防災設備、セキュリティ設備などの監視・計測および操作・制御を行います。

建物

データセンターの建物の基準は「建物用途」「地震リスクに対する安全性:PML」「建築基準法」による評価が適用されます。

PML(予想最大損失)は、今後500年間のうちにあらゆる地震によって引き起こされる損失のレベルを示す値です。PMLは評価対象物を破損する以前の状態に修復するために必要な費用を、そのものの再調達価格で割り出して求める数値です。PMLを採用することで地震危険度、地盤の安定性、建物の耐震性、設備の耐震性等、地震リスクに対しての総合的な評価が可能になります。

電気設備

電気設備の基準は、5つの電源経路の冗長性によって評価されます。冗長性とは、予備の機器や同一性能の設備を複数個用意しておくことで故障やトラブルが発生してもシステムが正常稼働できるようにすることを意味しています。

  • ・受電回線の冗長性
  • ・電源経路の冗長性(受電設備~UPS入力)
  • ・電源経路の冗長性(UPS~サーバー室PDU)
  • ・自家発電設備の冗長性
  • ・UPS設備の冗長性

空調設備

空調設備の基準は、2つの電源経路の冗長性によって評価されます。

  • ・熱源機器・空調機器の冗長性
  • ・熱源機器・空調機用電源経路の冗長

通信設備

通信設備の基準は、2つの電源経路の冗長性によって評価されます。通信設備の冗長性は、スイッチやルーターなど予備の回線ルートを準備して1つのルートが遮断されても他のネットワークを確保しておくことが必要です。

センター内の回線を複数回線にしておくことに加え、データセンターへのアクセス回線のケーブルを複数回線に分けて引き込むことで、1つのルートが遮断されてしまっても他のルートで回線を通してネットワークに接続できます。

  • ・引き込み経路キャリアの冗長性
  • ・建物内ネットワーク経路の冗長

 

まとめ

サスティナブルが求められる現代、データセンターに求められるファシリティも環境負荷やエネルギー負荷の少ないものへと変化しています。データセンターは、ファシリティスタンダードに則って機能性を保ちながら5つの基準それぞれを高効率かつコスト削減が可能なものへシフトチェンジしています。データセンターを利用することで、間接的に電力の効率的な消費やサスティナブルへ貢献しているといえるでしょう。

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